山内雄喜の監修による、1930〜40年代のハワイアン・スウィングのオムニバス版。(KAHI レーベル 2002.07.15にリリース) 全曲30年代から40年代のスウィング全盛時代に録音されたウクレレアルバム。ウクレレがスウィングする! スウィンギーなウクレレ奏法をたっぷり味わえる。90年代以降、ハーブオオタなどソロウクレレが注目され、ウクレレは、ギターのようにソロ楽器としてのイメージも加わり、次第にかつての戦前のウクレレサウンドが忘れ去られようとしているなかで、注目すべき実に貴重なアルバムだ。
元来ウクレレは歯切れよく、伴奏楽器として、リズミカルに演奏されるが、このCDを聴くと、どの曲も実によくスウィングしており、当時、ウクレレが決してギターの代役でない(どころかむしろ主役であった)ことがよくわかる。今の時代に聴けば、録音の古さは、レトロな味わいに繋がっているし、一般的なハワイアンのイメージからすれば、もっとジャズ寄りの、終始一貫スウィンギーなノリで迫ってくる演奏は、かなり新鮮に思えてくる。
アコースティックギターの雄、マーティン社は戦前のウクレレブーム到来時に業績をあげ、現在の会社の基礎を築いたといわれるが、このアルバムを聴くと、当時ウクレレがいかにもてはやされていたかも想像できる。しかし、それにしても当時のウクレレ演奏のレベルの凄さに驚嘆してしまう。ウクレレファンだけでなく、広くアコースティック・ミュージックやクラシックジャズ好きの人にもお勧めできる。