第2回 不滅のジャズ名曲-その2- ドナリー(Donna Lee)

B000a7q2ci01_aa240_sclzzzzzzz_○Django:「マーフィー君、ウィントン・マルサリスの最新アルバム聴いた?」


●Murphy:「LIVE AT THE HOUSE OF TRIBES」だろう。もちろん。ジャズはやはりライブだよ。このアルバム聴いて、ジャズはライブアルバムが最高!と思った。ニューヨークでこのライブに遭遇していたらどんなに楽しかっただろうなあ。聴衆のノリが素晴らしいね。ウィントンと彼のグループのホットなプレイ、聴衆の演奏への参加、完全に一体になっている。ジャズ特有の、ステージと聴衆とが一緒になって演奏を盛り上げ、全員が参加する。楽しさが充満しているアルバムだ。それにしても、ウィントンの演奏は快調だね。」

○D:「そのとおり。こんなに楽しいアルバムは久々だね。ウィントンのアドリブフレーズは、余裕で歌いまくるし、同じフレーズが二度と出ないほど、クリエイティブで、その上どこかやっぱりジャズだという懐かしさもある。」

●M:「パーカーの演奏で有名なドナリーが4曲目に入っているね。すさまじいスピードだ。あたかも急流下りで、川の流れに身をまかせ、流れのスピードにノリながら、2倍も3倍も余裕があるなかで、変幻自在に、パフォーマンスを繰り広げている。」

○D:「やはりジャズはリズムが命。ところで、日本の中村健吾がベースで参加しているね。」

●M:「2曲目のジャスト・フレンズでソロを繰り広げているが堂々たる演奏だ。ドラムのジョー・ファーンズワースもいいね。」

○D:「ルイス・ナッシュのライブを思い出したよ。」

●M:「ところで、ジャンゴ君、どれが一番よかった?」

○D:「どれも素晴らしいよ。その中から一曲選ぶなら、ボクの一番好きな曲「ドナリー」だね。」

●M:「やっぱりそうか? ジャンゴ君は、もともとパーカーが大好きだからね。」

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ウィントン・マルサリスの最新アルバム  LIVE AT THE HOUSE OF TRIBESに登場する名曲「ドナリー」の、パーカーによるオリジナル演奏は、不滅の名盤「チャーリー・パーカー・オン・サヴォイ」で聴ける。このドナリーの作曲者は、実はマイルス・デイビス。
「オン・サヴォイ」では、他に、「 ビリーズ・バウンス」「 ナウズ・ザ・タイム」「パーカーズ・ムード」など、ジャズ史上屈指の名演奏が満載されている。パーカーの数あるアルバムのなかで、この「サヴォイ盤」と「ダイヤル盤」が最も有名であるが、どちらか一つを選ぶなら、「サヴォイ盤」をおすすめする。「サヴォイ盤」は、パーカー絶頂期の演奏で、録音状態もけっこうよい。パーカーの演奏は録音年代が古い(1940年代〜50年代)ので、それだけで嫌ってしまう人が多いが、最新のCDでは、驚くほど音がよくなっている。パーカーの演奏の素晴らしさを体験すると、録音の古さなんて全く気にならない。最近思うことは、モダンジャズは、やはりパーカーで始まり、パーカーで終わるのではないかと。そういう意味では、パーカーの演奏は、本当のクラシックであり、時代を超越して今聴いても実に新鮮だ。1940年代に、サヴォイやダイヤルがよくぞ録音していてくれたものだ。

●DATA

曲名:Donna Lee (1947)

作曲:Miles Davis

ハワイアンスラックギターの名手、ソニー・リム

Slack Key Guitar: The Artistry of Sonny Lim
B000bdgweo01_aa240_sclzzzzzzz_ハワイには、日本ではあまり知られていない素晴らしいミュージシャンがたくさんいる。特にギターの分野では、スラックギターというハワイならではの独自の奏法による優れた演奏家が多い。ソニー・リムもその一人。
Slack Key Guitar: The Artistry of Sonny Lim(Palm Records)は、ハワイのスラック・キー・ギターの名手、ソニー・リム(SONNY LIM)の代表作ともいえる、グラミー賞受賞ソロアルバム。このアルバム、実はホノルルのタワーレコード(現在閉店)で入手した。
ソニー・リムは、ハワイの有名な音楽一家であるLIMファミリーのひとり。ビッグアイランドで生まれた。
ビッグアイランドはハワイのカウボーイ・カントリー文化の発祥の地であり、そこで育ったソニーのギターも当然カントリーの影響を受けている。でもこのアルバムは、メインランドのカントリー・ミュージックよりも、ハワイのトラディッショナル・ルーツをベースに彼の持ち味が生かされ、コンテンポラリーでさわやかだ。もちろん全曲アコースティックギターのソロ。
アルバム全体を包み込む、スローライフな時間の流れは、忙しい生活のひとときをリラックスさせ、ゆったりとした気分にしてくれる。大半はソニー・リムのオリジナル曲で、ブルースやラグなども入っている(2曲目)。
なお、彼の演奏が2曲入っている、アルバム”SLACK KEY GUITAR Volume 2“も一昨年度のグラミー賞に輝いた。