第18回 不滅のジャズ名曲-その18- スターダスト(Stardust)

Django:「Murphyくん、ウクレレの調子はどう?」
Murphy:「毎日弾いてるよ。最近ね、Djangoくんに刺激されて、ウクレレでジャズをやりたくなったんだ。」
D:「それは、いいね。」
M:「Djangoくんも知ってると思うけど、ハワイのウクレレ奏者、オオタさん。ウクレレでジャズスタンダードをやっているだろう。ボクも少しジャズを勉強しようと思って、楽器屋で探していたら、偶然オオタさんの輸入楽譜が見つかったんだ。内容はスタンダードジャズ。そのなかでまずどれから始めようかと思って見ていたら、偶然「スターダスト」が目にとまった。よし、これだ、と思って練習しているんだ。」
D:「スターダストは、みんな知っている名曲だからね。いいね。それ、マスターしたら聴かせて。」
M:「うん。ところで、この曲、誰の作曲だった? 」
D:「ホーギー・カーマイケルだよ。確か1920年代の作曲だったと思うけど。」
M:「そうか。古い曲なんだね。この楽譜にはアドリブが載ってないんだ。どうしようDjango君、教えてくれる?」
D:「当たり前だろ。アドリブなんて楽譜には出てないよ。自分で考えるものだよ。」
M:「そういわずにヒントを教えて?」
D:「ヒントなんかないよ。まず、いろんな人の演奏を聴くことだね。ところで、Murphyくん、この曲、楽器でなくて、歌で聴いたことある?」
M:「ないね。楽器の演奏はけっこう聴いているんだけど。」
D:「そうか。それならまず、ヴォーカルで聴いてみたら? まず歌から入った方がいいよ。」
M:「確かに。でも、この曲有名だから、いろんな人が歌っているだろう。誰がいい?」
D:「スターダストは名曲中の名曲だから、ほとんどのシンガーが吹き込んでいるね。スターダストのオムニバス・アルバムまで出ているぐらいだから。1人だけあげるのは難しいよ。そうだなあ、若い人がいい? それともベテラン?」
M:「両方とも。昔の古いものも、新しい録音のものも聴きたいね。」
D:「それなら、まず古い録音の方から選ぼう。やはり、エラ・フィッツジェラルドだね。彼女が1954年に吹き込んだアルバムで、「ソングス・イン・ア・メロウ・ムード」というアルバム。伴奏はエリス・ラーキンス という人のピアノ。この人は本当に歌の伴奏がうまいんだ。本当は、ヴォーカルものは、こういったピアノ1台だけのシンプルな伴奏が一番いいよ。」
M:「有名なアルバムなの?」
D:「昔から、このアルバム、エラの数ある録音のなかでも、決定版の一つだといわれている。全曲バラードで、しっとりと落ち着いたアルバムだね。このなかに入っている「スター・ダスト」、これは、ボクがこれまで聴いた「スターダスト」のなかで、最も印象に残っている演奏だね。このアルバムから、エラ・フィッツジェラルドを聴いていけばいいと思うよ。」
M:「わかった。それで、あと、最近の若い人の録音では?」
D:「これに匹敵するものは、なかなかないんだけど...。そうだな。こちらの方も、シンプルなピアノ1台だけの伴奏の方がいいし。歌い手もそうだけど、こういった歌伴ができるピアニストは、ベテランの本当に味のある人でないとなあ。テクニックをひけらかす人はだめだし。相手に寄り添って、本当に歌いやすく弾いてあげられる人でないとね。あのハンク・ジョーンズあたりが伴奏すれば最高なんだけど...、ちょっと、待てよ。.....ん...出てこないなあ。じゃあ、次回までに考えておくから。」
  ◇◇◇
エラの歌が円熟し絶頂期にさしかかった頃の名盤。全曲スタンダード・ナンバーのバラードでまとめられている。エリス・ラーキンスのピアノオンリーの伴奏が、一段とエラの素晴らしい歌唱力を引き立てている。1954年録音。Daccaレーベル。

ソングス・イン・ア・メロウ・ムードElla_mellowmood

コメントを残す