第27回 不滅のジャズ名曲-その27-ニューヨークの秋(Autumn in New York)

Django:「Murphyくん、久しぶりに今回は女性ヴォーカルを採り上げたいと思うんだ。ブロードウェイのミュージカルのヒットナンバーは、これまで多くのジャズ・シンガーに歌われてきたけど、そういったミュージカルの名曲ばかりを集めたアルバム。」
Murphy:「そのアルバムはDjangoくん、かなり気に入っているの?」
D:「そのとおり。「大都会のノスタルジーを歌った極めつけの名唱」というコピーが、アルバムの帯に書かれているとおり、聴いていて実に心地よい素敵なアルバムだね。」
M:「それで、誰が歌っているの?」
D:「白人女性歌手で、「ジョー・スタッフォード」という人。40、50年代に大活躍した人。伴奏は、ポール・ウェストン楽団。バックがストリングスの入ったオーケストラだから、ノスタルジックな映画を見ているようだ。このアルバムは、これまであまりジャズにふれていない人にも、おすすめだね。古きよき時代の映画が好きな人にピッタリだろうな。」
M:「どんな歌い方?」
D:「Murphyくん。一度聴くと絶対に気に入るよ。あまり黒人ぽい歌い方の人は苦手だといっていたね。ジョー・スタッフォードは、さらっとした歌い方。原曲に対し忠実に歌い上げる人。それとほとんどビブラートをかけずに、息の長いフレージングで歌うのが特徴。」
M:「そうか、あまり歌い方にくせがないんだね。」
D:「そのとおり。いわゆる”トランペット・ヴォイス”と呼ばれる歌唱法をマスターし、トロンボーン奏法からヒントを得たという、独自の管楽器に近づけた歌い方が特徴で、しかもさらっと歌いあげるところが魅力だね。」
M:「アルバム名は?」
D:「1曲目の「ニューヨークの秋(Autumn in New York)がアルバム・タイトルになっている。アルバムのなかで、やはりこの曲が一番いいね。」
M:「だれの作曲?」
D:「ヴァーノン・デューク。「パリの四月」を書いた人。この曲は、ジャズのスタンダード曲として多くのシンガーやプレーヤーが吹き込んでいる。演奏では、チャーリー・パーカーやソニー・スティット、チェット・ベイカーなど。シンガーでは、ビリー・ホリディやフランク・シナトラなど。」
M:「この一曲だけがいいんじゃない?」
D:「このアルバムに限っては、そんなことないね。確かにこの曲が突出しているかもしれないけれど、どれもいい曲ばかりだよ。他にジュローム・カーンの曲で「煙が目にしみる」、リチャード・ロジャーズのミュージカル南太平洋のなかのヒット・ナンバーで「魅惑の宵」などが入っている。」
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Autumn in New York(1934)
◆作詞・作曲:Vernon Duke
◆Key:F major
◆形式:A1 – B – A2 – C
◆主な収録アルバム:Charlie Parker with Strings (Verve)
◆推薦アルバム:Joe Stafford(vo) “Autumn in New York” (Capitol)
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ニューヨークの秋 ジョー・スタッフォード 1955年録音
Jostafford1

Autumn in New YorkとStarring Jo Staffordの 2枚のアルバムのカップリング版
Autumn in New York/Starring Jo Stafford
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