Murphy:「バリー・ハリス(Barry Harris)のコンコード・レーベルに吹き込んだLive at Maybeck Recital Hall, Vol. 12は素晴らしいね。つくづくこういうアルバムが欲しかったんだと思った。それで、バリー・ハリスに興味を持ったんだけど、Djangoくん、他のアルバムを教えてくれる?」
Django:「Live from New York, Vol. 1という最新アルバムがある。昨年(2006年)の夏にLineageというマイナーレーベルからリリースされた。NYのライブハウスでのライブレコーディング。こちらは、ピアノソロではなく、トリオ。ジャズの名曲がズラリ並んでおり全10曲、最初の曲がスター・アイズ(Star Eyes)。この曲はGene De Paulの1943年の作品。1942年に作曲した四月の思い出(I’ll Remember April)に続く当時の大ヒット曲。パーカーを初め、アート・ペッパーもMeets the Rhythm Sectionに吹き込み、ティナ・ブルックスもMinor Move(Blue Note)で秀作を残している。
バリー・ハリスのこのアルバムは、他に、 Perdido、Night in Tunisia、Tea for Twoなどのスタンダード曲が収録されている。前回でも言ったように、バリー・ハリスはパウエル直系のバップピアニストで、今や貴重な存在。聴けば聴くほど味が出る演奏は、前回紹介したピアノソロアルバム同様で、このアルバムもライブだからリラックスしたなかに、長年ピアノを引き続けてきた彼ならではの洒脱なセンスのよさが溢れている。いずれ入手困難になることは間違いないだろう。パーカーが好きで、ビバップ派のピアニストを捜している人にはまさに至福のアルバムだね。Murphyくん、今からでも遅くないから、彼のアルバムはコツコツ集めておいた方がいいよ。」
M:「バリー・ハリスなんて全然知らなかった。Djangoくんからバリー・ハリスのことを聞いて、自分で調べてみたんだけど、鳩の写真のジャケットで有名なサド・ジョーンズ(Thad Jones)のザ・マグニフィセント・サド・ジョーンズ(Blue Note)でピアノを弾いていたんだね。」
D:「そのとおり。ちなみにサド・ジョーンズは、前々回に紹介したハンク・ジョーンズと兄弟で、ドラムのエルヴィン・ジョーンズを含めてジョーンズ3兄弟だ。」
◇◇◇
Live from New York, Vol. 1 : Barry Harris Trio 2006
