第64回 不滅のジャズ名曲-その64-夜も昼も(Night And Day)

Putte_wickmanコール・ポーター (Cole Porter)の名曲、夜も昼も(Night And Day)は、1932年に作曲された「陽気な離婚(The Gay Divorcée)」のミュージカルナンバー。フランク・シナトラの得意曲で、エラ・フィッツジェラルドやアニタ・オデイなど多くのジャズ歌手に歌われてきた。ベニー・グッドマンのヒット曲でもあり、特にクラリネットに合う曲だ。

モダンジャズ以降、サックス全盛時代になり、ニューオリンズ時代からスイング期にかけて活躍してきたクラリネットは、最近ではその出番がめっきり減ってしまったが、改めて今の時代にクラリネットを聴いてみると、サックスとは違ったそのぬくもりのある響きは、他に代え難い魅力を持っていることが再確認できる。

今改めてクラリネットを聴くなら、その響きの美しさを味わう上で、どうしても最新録音のなかから選びたくなる。実は、一般にはあまり知られていないが、北欧のスウェーデン・ジャズ界の巨匠として、長年クラリネットを演奏してきたプッテ・ウイックマン(Putte Wickman)が2006年の2月に惜しくも亡くなった。その追悼盤としてGazellレーベルから緊急限定発売されたアルバムが、アン・インティメイト・サリュート・トゥー・フランキー(An Intimate Salute to Frankie)というフランク・シナトラに捧げた作品。

このアルバムは、クラリネットとピアノのデュオで全曲演奏されており、クラリネットを味わう上では理想的な編成であり、彼のラスト・レコーディングとなった貴重な録音である。曲目は全15曲で、スタンダード名曲がズラリ並んでおり、ラストに夜も昼も(Night And Day)が収録されている。プッテ・ウイックマンは、1924年生まれで、スウェーデンの王立アカデミー会員であり、クラシックからモダン・ジャズまでこなし、名実共にスウェーデン音楽界の大御所として活躍してきた人である。

澄み切った透明感のある音色の美しさは、一聴してわかるほどの魅力を持っており、自然で温かみのある演奏は、まさに北欧ならではのものだ。彼の音楽をかけると、クラリネットのふくよかな響きが部屋を包み込み、何とも言えない落ちついた気分になる。(Django)

第63回 不滅のジャズ名曲-その63-ライク・サムワン・イン・ラブ(Like Someone In Love)

Margareta_bengtson

アイム・オールド・ファッションド

ジミー・ヴァン・ヒューゼン(Jimmy Van Heusen)とジョニー・バーク(Johnny Burke)のコンビが書いた曲のなかで、特に自分の好きな曲は、Like Someone In Love(1944年)だ。このコンビは他に、It Could Happen to You(1944年)やPolka Dots and Moonbeams(1940)など数多くのスタンダード曲を生み出しているが、Like Someone In Loveの持つ詩情豊かな美しさは別格だ。エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)も1957年にこの曲をタイトルにしたアルバムをVerveに吹き込んでいる。

スウェーデンの歌姫マルガリータ・ベンクトソン(Margareta Bengtson)の最新アルバムが5月23日にリリースされた。I’m Old Fashionedというタイトルのアルバムで、7曲目にLike  Someone In Loveを吹き込んでおり、これがなかなかの名演だ。

マルガリータは、どちらかと言えば、うす味でさらっとしており、しかも深い味わいを持った歌声で、特にこれから夏に向かう季節にぴったりだ。とくに普段ジャズ・ヴォーカルを聴かない人でもほとんど抵抗なく受け入れられるだろう。このアルバムは、ジャズやボサノヴァのスタンダード曲が収録されており、重くならず爽やかなヴォーカルは、都会的で洗練されており、いつでも聴けるエレガントなサウンドに仕上がっている。(Django)

マーフィーのオリンパスE-410レポート

オリンパスE-410のデザイン

デジタル一眼レフのなかで、2007年6月現在、最小、最薄、最軽量なE-410。実際に手にしてみると確かに小さい。右手のグリップがなくなると、こんなにもすっきりし、デザインがよくなるのかとつくづく思う。

オリンパスならではの、コンパクトさがやっと実現した。もともと右手のグリップなど不要だと、以前から指摘していたが、現実にグリップ部をなくしてしまうには、電池格納室や内蔵フラッシュ用のコンデンサーなどを本体に移さねばならないため相当設計が大変になる。それをE-410は実現したのだから、さすがオリンパス、大したものだ。

E-410のデザインは、コンパクトに凝縮しただけあってムダがなく、眺めてもよし、手に持っても愛着がわき機能美が備わった。徹底的に追い込んでコンパクトに凝縮したものは、贅肉がとれ、精悍さが現れる。個人的には、内蔵フラッシュは省略してほしかった。もし、内蔵フラッシュを搭載せずに、メモリーカードもCFカードを取り去り、SDとxD-ピクチャーカードにすれば、さらにコンパクトになっただろう。内蔵フラッシュを立ち上げてみると、ペンタ部が現れるのだが、これがOM-1そっくりだ。このペンタ部の高さがこんなに低く設計されていたのかと驚いてしまう(少しでも低くするためにクイックリターンミラーの傾斜も45度以上になっている)。