
Django:「今もNYで活躍するビバップの伝導師、バリー・ハリス(Barry Harris)の初リーダー作Breakin’ It Up(1958年)が、欧州のJAZZ BEATレーベルからこの6月に再発された。音質はかなりよくなっている。しかも、オリジナル盤の8曲以外に、初リーダー作の翌日にソニー・スティット(Sony Stitt)も加わり録音された9曲もボーナス・トラックとして収録されている。実は、この9曲は、ソニー・スティット名義でBurnin!というタイトルで発売されたアルバム。今回のこの復刻盤には12ページのブックレットが付いている。ビバップの好きなMurphyくんにおすすめだね。」
Murphy:「バリー・ハリスといえば、これまでにも何枚かのアルバムをDjangoくんに紹介してもらったけど、今ではボクの愛聴盤になっている。このアルバムはどんな曲が入っているの?」
D:「おなじみのジャズ・スタンダード、オール・ザ・シングス・ユー・アー(All The Things You Are)や、パーカーがダイアル・レーベルに吹き込んだ彼のオリジナル曲、オーニソロジー(Ornithology)など。」
M:「オーニソロジーってむずかしい名前だったので、以前に辞書で調べたんだけど、鳥類学という意味だったね。パーカーのニックネームがバードだから、そのような曲名を付けたんだね。」
D:「そのとおり。オリジナルのパーカー演奏もいいけど、ピアノでバリー・ハリスが奏でると、新鮮で、いっそうこの曲の良さが引き出されるね。ボーナストラックのソニー・スティットが加わった方でも、Lover Man、Koko、Easy Livingなどの名曲が入っている。ソニー・スティットは最もパーカー的な演奏だから、バリー・ハリスとの相性も文句なし。」
M:「バリー・ハリスって年齢はいくつぐらい?」
D:「1929年生まれだから、今年で78歳。今やビバップ・スタイルのジャズピアノを継承する大変貴重な存在。彼は、現在NYのリンカーンセンター近くで、自らワークショップを主宰して多くのミュージシャンを育てている。まさに伝導師だ。」