第82回 不滅のジャズ名曲-その82-アイ・ウォント・トゥ・ビ・ハッピー(I Want To Be happy)

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ジ・インペッカブル・ミスターウィルソン

Django:「このシリーズも早いもので今回で82回目だけど、大事な人を忘れていた。スイング系のピアニストならこの人をまず筆頭にあげるべきだった。テディ・ウィルソン(Teddy Wilson)。クラシックなジャズ、オールド感覚溢れるジャズ、いつでも聴いて楽しいジャズ、歌ものスタンダード曲中心のジャズ、リラックスできるジャズ、優雅なジャズ、初めての人でもとっつきやすく、いつかどこかで聴いたような懐かしい香りのするジャズ、...。こういった要素をすべて持ち合わせているのがテディ・ウィルソンだ。」

Murphy:「テディ・ウィルソンといえば、確かベニー・グッドマンといっしょに演奏していた人だね。リーダー・アルバムは全く知らないんだけど、かなり古くから録音していたの?」

D:「30年代後半から吹き込まれたビリー・ホリディのアルバム(ブランズウィック・レーベル)で、テディのピアノを聴くことが出来る。40年代に入り、ジョン・ハモンドの紹介でベニー・グッドマンと共演し、彼のピアノは一世を風靡する。50年代に入り、ノーマン・グランツのプロデュースにより、本格的なレコーディング活動が始まり、リーダー作を発表する。ノーマン・グランツはテディを高く評価していたようだ。」

M:「ノーマン・グランツといえばVerveレーベルだね。Verveは今改めて思うけど、大変貴重なアルバムを数多く残してくれたんだ。」

D:「今回紹介する、ジ・インペッカブル・ミスターウィルソン(The Impeccable Mr.Wilson)は、Verve時代の1957年の録音。ピアノトリオで演奏され、彼のリーダー作としてスイングピアノの楽しさを満喫できる。全12曲で、1曲目は、Youmansが1924年に作曲した名曲、アイ・ウォント・トゥ・ビ・ハッピー(I Want To Be happy)。この曲は、1944年テディがエドモンド・ホールと共演した Edmond Hall/Teddy Wilsonでも演奏しており、アップテンポでスイングし、彼の十八番だね。この曲は、レスター・ヤングやオスカー・ピーターソンなどもよく演奏した。」

M:「テディ・ウィルソンとオスカー・ピーターソンとの違いは?」

D:「そうだね。どちらもよくスイングするけど、テディの方がより原曲の美しさを表現しているといえる。テディーは優雅、滋味といった形容がぴったり。気品というかより大人のジャズの香りがする。」

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