
Live at Maybeck Recital Hall, Vol. 3: Music of 1937
Django:「世の中にはいろんなジャズのアルバムがあるけど、今回紹介するのはそのなかでも大変ユニークなアルバム。同じ年に作曲された曲ばかり集めたアルバムで、全曲1937年に誕生した曲。Concord JazzレーベルのLive at Maybeck Recital Hallシリーズ Vol. 3、タイトルは、Dick Hyman/Music of 1937」
Murphy:「1937年といえば、戦前だからスイング時代の曲だね。」
D:「全部で12曲収録されている。すべてピアノソロ。演奏者は、アメリカのディック・ハイマン(Dick Hyman)という名ピアニスト。曲目は、マイルスのアルバムで有名な、いつか王子様が(Someday My Prince Will Come)をはじめ、My Funny Valentine、Caravan、Foggy Dayなど、ジャズスタンダードの代表曲が数多く収録されている。」
M:「知っている曲ばかりだね。1937年は名曲がいっぱい生まれた年なのかなあ。ところで、ディック・ハイマンという人は、ボクは全く知らないんだけど、どんな人?」
D:「ピアニスト、オルガニスト、アレンジャー、ディレクターで作曲家でもある。この人の演奏を聴けば、20世紀のジャズピアノの歴史がわかる。しかも、どれも現代の演奏として実に生き生きとしている。伝統的な奏法を研究し尽くしたディック・ハイマンの演奏は、ジャズの遺産として過去の奏法を継承しながら、今の時代のわれわれに実に新鮮に語りかけてくれる。これまで11枚のソロアルバムを録音しているが、どれもすばらしい。今回採り上げたアルバムはライブレコーディングだから一層彼の特質が表れており、5曲目に収録されている、Someday My Prince Will Comeなど、イントロから思わず惹き込まれる。ディック・ハイマンのピアノは、ジャズファンだけでなく、クラシックファンにも是非聴いていただきたい。」