第91回 不滅のジャズ名曲-その91-マイルストーンズ(Milestones)

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天国への七つの階段

Django:「 イタリアの10代の若手アルト・サックス奏者、フランチェスコ・カフィーソ(Francesco Cafiso)のセカンドアルバム。アルバム・タイトルは、天国への七つの階段(Seven Steps To Heaven)。2006年1月録音。1989年生まれだから当時17歳。パーカー直系のスタイルをわがものにして、現在急成長中。」

Murphy:「確かデビューアルバムは、ニューヨーク・ララバイで16歳のときだったね。」

D:「今回のセカンドアルバムは、全編バラードの一作目とは打って変わって、アップテンポの曲を収録しパワフルだ。アルバムの6曲目には、マイルスの名曲、マイルストーンズ(Milestones)を吹き込んでいる。これがまた素晴らしい。」

第90回 不滅のジャズ名曲-その90-Cジャム・ブルース(C Jam Blues)

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ラブ・ユー・マッドリィ

Django:「キーがCメジャーのシンプルなブルース・リフ、Cジャム・ブルース(C Jam Blues)は、デューク・エリントンの有名なナンバー。この曲は、もともとエリントン楽団のメンバーで、ニューオリンズ生まれのクラリネット奏者、バーニー・ビガード(Barney Bigard)がよく吹いていたそうだ。そのリフを1942年にデュークがアレンジしたらしい。この曲のノリの良さ、12小節のシンプルなブルースは、その後多くのピアニストに愛された。」

Murphy:「Cジャム・ブルースといえば、レッド・ガーランドの有名なGroovyというアルバムを思い出すね。確か1曲目に入っていた。」

D:「そのとおり。Prestigeレーベルに1957年に録音された、超有名なアルバム。」

M:「みんな知ってるアルバムだね。ところで、今回は誰の演奏?」

D:「今回も、新しい録音のなかから選んでみた。やはり、ビル・チャーラップ(Bill Charlap)がいいね。エリントン・ナンバーばかりを集めた、ラブ・ユー・マッドリィ (Love You Madly)というアルバム。2003年にN.Y.で録音され、ヴィーナス・レコードより発売された。その中の9曲目にこの曲が収録されている。レッド・ガーランドよりもスローなテンポで演奏している。このアルバム、これまでのエリントン曲集とは違い、アプローチが個性的で新鮮だ。耳を澄ましてじっくり聴ける。何回聴いても飽きない。アルバムに収録された11曲、すべて素晴らしい。永久保存盤!

このアルバムは、Swing Journal選定ゴールドディスクに選ばれた。名盤だと思う。」

第89回 不滅のジャズ名曲-その89-恋人よ我に帰れ( Lover Come Back To Me)

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星へのきざはし

Django:「"Lover Come Back to Me”は、大変有名な曲でジャズスタンダードとしてこれまで多くのプレーヤーに演奏されてきた。"恋人よ我に帰れ"と訳されている。  Oscar Hammerstein II(作詞)、Sigmund Romberg(作曲)の名コンビにより、1928年に作られたブロードウェイ・ミュージカル、"ザ・ニュー・ムーン"のナンバー。ジャズ・ヴォーカルでは、ミルドレッド・ベイリーが1938年に録音しており、この曲の決定的名唱といわれている。その後、ビリー・ホリデイも1944年に録音している。ヴォーカル以外では、ロイ・エルドリッジが1936年、レスター・ヤングが1946年、ディジー・ガレスピーが1948年にそれぞれ吹き込んでいる。」

Murphy「最近の録音で、おすすめは?」

D:「こういう1920年代から30年代の曲を演奏させたら、ピアノでは、やはりビル・チャーラップ(Bill Charlap)がうまいね。2004年秋にヴィーナス・レコードに録音された、Stairway To The Stars(星へのきざはし)というアルバムの1曲目に収録されている。冒頭から思わず引き込まれる。軽やかなタッチで聴き手を引きずり込む力は、この人ならではもの。歌うような演奏。しかもスリルがあり斬新だ。このアルバムは、スイングジャーナル誌の読者のリクエストに応えたスタンダード曲を収録しており、初めてジャズを聴く人から、ベテランまで広くおすすめできる名アルバム。」

M:「あれー、確かLover Come Back to Meって、以前に採り上げたんじゃなかった?」

D:「あっ、そうだった! 思い出した。第60回でね。その時はホッド・オブライエン・トリオの演奏だった。」