
Django:「"Lover Come Back to Me”は、大変有名な曲でジャズスタンダードとしてこれまで多くのプレーヤーに演奏されてきた。"恋人よ我に帰れ"と訳されている。 Oscar Hammerstein II(作詞)、Sigmund Romberg(作曲)の名コンビにより、1928年に作られたブロードウェイ・ミュージカル、"ザ・ニュー・ムーン"のナンバー。ジャズ・ヴォーカルでは、ミルドレッド・ベイリーが1938年に録音しており、この曲の決定的名唱といわれている。その後、ビリー・ホリデイも1944年に録音している。ヴォーカル以外では、ロイ・エルドリッジが1936年、レスター・ヤングが1946年、ディジー・ガレスピーが1948年にそれぞれ吹き込んでいる。」
Murphy「最近の録音で、おすすめは?」
D:「こういう1920年代から30年代の曲を演奏させたら、ピアノでは、やはりビル・チャーラップ(Bill Charlap)がうまいね。2004年秋にヴィーナス・レコードに録音された、Stairway To The Stars(星へのきざはし)というアルバムの1曲目に収録されている。冒頭から思わず引き込まれる。軽やかなタッチで聴き手を引きずり込む力は、この人ならではもの。歌うような演奏。しかもスリルがあり斬新だ。このアルバムは、スイングジャーナル誌の読者のリクエストに応えたスタンダード曲を収録しており、初めてジャズを聴く人から、ベテランまで広くおすすめできる名アルバム。」
M:「あれー、確かLover Come Back to Meって、以前に採り上げたんじゃなかった?」
D:「あっ、そうだった! 思い出した。第60回でね。その時はホッド・オブライエン・トリオの演奏だった。」