第95回 不滅のジャズ名曲-その95-ポルカ・ドッツ・アンド・ムーンビームス(Polka Dots And Moonbeams)

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ニューヨーク・ララバイ

Django:「第91回で採り上げた、フランチェスコ・カフィーソ(Francesco Cafiso)のファーストアルバム。2005年NYで録音。当時弱冠16歳。アルバム名は、ニューヨーク・ララバイ/フランチェスコ・カフィーソ・ニューヨーク・カルテット。パーカー直系のスタイルを完全に自分のものとし、実に表情豊かに歌っている。」

Murphy:「これもヴィーナス・レコードからリリースされたの?」

D:「そう。1曲目のバードランドの子守歌を聴いたとたん、とても16歳の少年とは思えなかった。表現の幅の広さ、堂々としたプレイに驚かされてしまう。力もあり、しかも歌うような演奏。リズム感が抜群だ。

ところで、Jimmy Van Heusen作曲のポルカ・ドッツ・アンド・ムーンビームス(Polka Dots And Moonbeams)が3曲目に入っている。この曲は、1940年に作られ、フランク・シナトラが歌い大ヒットした。ウエス・モンゴメリーやビル・エバンスをはじめ多くのプレーヤーがこの曲を吹き込んでいる。名曲だ。そして名演奏だ。」

第94回 不滅のジャズ名曲-その94-チェルシー・ブリッジ(Chelsea Bridge)

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ザ・コンプリート・オーバーシーズ+3 ~50th・アニバーサリー・エディション~

Django:「デューク・エリントンの片腕として活躍したビリー・ストレイホーン(Billy Strayhorn)が作曲した名曲、チェルシー・ブリッジ(Chelsea Bridge)。1941年の作。そのチェルシー・ブリッジを、名ピアニスト、トミー・フラナガン(Tommy Flanagan)は1957年に録音している。

そのアルバム(オーバーシーズ)は、ピアノトリオの屈指の名盤と言われた。スイングジャーナルの第1回ゴールドディスクにも輝いた。ベテランのジャズ・ファンならみんな知っているアルバム。」

Murphy:「1957年というと、ちょうど50年前になるね。」

D:「そう。50年が経過し、この12月にコンプリート・ヴァージョンが再発された。そして今回は、チェルシー・ブリッジの別テイクが2曲初収録されている。」

M:「チェルシー・ブリッジは、特にエリントン、ビリー・ストレイホーンが好きなDjangoくんに薦められて、ぼくも知っている曲だね。」

D:「このアルバムは、スウェーデンのストックホルムで録音された。ドラムスは、エルビン・ジョーンズ、ベースはウイルバー・リトル。80年代半ばまで一時入手困難な時期もあったこの名盤を、誕生50周年に再発企画したDIWの功績は大きい。」

第93回 不滅のジャズ名曲-その93-オール・ブルース(All Blues)

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July 5th~Live at BIRDLAND New York~(紙ジャケット仕様)

Django:「ハンク・ジョーンズ(Hank Jones)の最新アルバム聴いた?」

Murphy:「いやまだ。NYのバードランドでのライブ・レコーディングだね。11月21日に2枚同時発売され、気になっていた。」

D:「現役最長老といってもいい、89歳になるハンク・ジョーンズのピアノトリオアルバムで、2007年7月5日のライブがJuly 5th  Live at BIRDLAND New York、翌日の6日の方が、July 6th Live at BIRDLAND New York。曲目も大変興味深いね。2枚とも最新録音だけ合って、当日にライブの熱気が実にリアルに収録されている。5日の方はスタンダード曲が中心。選曲がいいね。7曲目に、マイルスの作曲したオール・ブルース(All Blues)が、そして8曲名には、ソニー・ロリンズのセント・トーマス(St. Thomas)、ラストが同じくロリンズのオレオ(Oleo)。こういうアルバムが発売されることは、実にうれしいね。2枚とも永久保存盤!」

第92回 不滅のジャズ名曲-その92-ノー・プロブレム(No Problem)

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ティー・フォー・トゥー

Django:「ウイントン・マルサリス率いるリンカーン・センター・ジャズ・オーケストラのピアノ奏者といえば、相当な実力の持ち主だということを、すぐにイメージするが、実は、そのピアニストが、ダン・ニマー(Dan Nimmer)。年齢は、20代前半。その彼のデビューアルバムがこれ。 ティー・フォー・トゥ(Tea For Two)というタイトルで、ヴィーナスレコードに2005年の夏、録音された。」

Murphy:「ウィントン・ケリーに傾倒しているらしいね。」

D:「そう。ケリーやガーランドを思い出させるブルース・フィーリング豊かなピアニストだね。このアルバムの7曲目に出てくる、ノー・プロブレム(No Problem)という曲は、曲名自体は知らなくても、誰もが耳にしたことのある有名曲。デューク・ジョーダンの作曲で、映画「危険な関係」の主題曲。要注目のピアニスト。」