第97回 不滅のジャズ名曲-その97-ラウンド・ミッドナイト(Round Midnight)

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ミステリオーソ+2

Django:「当初の予定通り、このシリーズは100回で一応終わり!」

Murphy:「今回で97回目か。100回で終わるとなると、今回を含めてあと4回だね。」

D:「100回ぐらいでは、まだまだ少ないけど、一つの区切りにしよう。採り上げていない曲はたくさんある。今回は、ジャズ史上まさに不滅の名曲、ラウンド・ミッドナイト(Round Midnight)セロニアス・モンク(Thelonious Monk)が作曲したもののなかで、最も有名な曲。1944年作。モンク自身のこの曲の初レコーディングは、1947年でブルーノート・レーベルに残した。」

M:「そういえば、80年代の半ばに同名の映画が作られたね。」

D:「そう。テナーのデクスター・ゴードンが主演だった。ところで今回紹介するアルバムは、NYの有名なファイブ・スポット・カフェでの1958年のライブレコーディング。アルバムタイトルは、ミステリオーソ(Misterioso)。テナーのジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)が参加している。もちろん、ラウンド・ミッドナイト(Round Midnight)も含まれている。

モンクは、他とは異なる独自の和音とリズムで、孤高のピアニストと言われたけど、その音楽性の高さは、没後ますます評価されている。また、数々のユニークな名作を生み出し、作曲家としての名声も高まるばかりだ。現在NYのジャズシーンでは、必ずと言っていいほど、セッションのなかでモンクの曲をとりあげるミュージシャンが多い。残念ながら、モンクの評価は、日本より欧米の方が高いようだ。今年はモンクの生誕90周年にあたる。

初めて聴けば無骨なピアノに思えるモンクの不思議な魅力、聴いていて飽きない深みのある響き。巧みな空間表現とでもいうべきか、間が生きている。このアルバムは、初めてジャズを聴く人には少しむずかしいかもしれないが、ジャズに少し親しんだ人なら是非!」

第96回 不滅のジャズ名曲-その96-ホワッツ・ニュー(What’s New?)

51frjwyzyol_aa240_コンプリート・ジーニアス・オブ・モダン・ミュージック Vol.3&ミルト・ジャクソン

Murphy:「ジャズを初めて聴く人、モダンジャズの入門として、たった一枚のアルバムを選ぶなら、Djangoくんはどれを選ぶ?」

Django:「入門編だからといって、中途半端なものは選びたくないね。入門だからこそ、これぞモダンジャズの決定版!というものを選ばないと。でないと、次から聴かなくなるからね。でも、いつでも店頭にならんでいる超名盤と称されるものは敢えてさけたい。

そこで、ヴィンテージ盤というか、いつまでも色あせない、これぞモダンジャズの原点として、とっておきのアルバムを紹介しよう。

ブルーノートレーベルの5011番。アルバムタイトルは、"コンプリート・ジーニアス・オブ・モダン・ミュージック Vol.3&ミルト・ジャクソン / WIZARD OF VIBES"。実はこのアルバム、2つのセッションをカップリングしたもの。1つは、モダン・ジャズ・カルテット(MJQ)の母体ともなった1952年のセッション。メンバーを紹介すると、ミルト・ジャクソン(vib)、ルー・ドナルドソン(as)、ジョン・ルイス(p)、パーシー・ヒース(b)、ケニー・クラーク(dms)。このメンバーを見てわかるように、後のMJQレジュラーメンバーにルー・ドナルドソンが加わっている。ここがポイント。

2つ目は、1948年のセロニアス・モンクとの歴史的な共演。メンバーは、ミルト・ジャクソン(vib)、セロニアス・モンク(p)、ジョン・シモンズ(b)、シャドウ・ウィルソ(dms)。」

M:「アルバムジャケットもいいね。」

D:「特にブルーノート5000番台のジャケットデザインは実にいい味が出ている。ところで、このアルバムは、2つのセッションを通していずれの演奏も素晴らしく、すべてが決定的名演だと思うが、あえて1曲選ぼう。その曲は、ジャズ・スタンダード屈指の名曲として、多くのミュージシャンに愛されている曲。ホワッツ・ニュー(What’s New?)Bob Haggartによる1939年の作曲。

へレン・メリルがクリフォード・ブラウンをバックにこの曲を吹き込んだアルバムは有名。他にパーカー、ファッツ・ナバロ、ビル・エバンスなどがこの曲の名演を残している。ミルト・ジャクソンのこのアルバムでの演奏も、実に味わい深い演奏だ。誰が聴いても、冒頭からのあの何とも言えない独特の香りに酔いしれることまちがいなし。」

M:「ミルト・ジャクソンといえば、バグス・グルーブが有名だけど、ここでの演奏はどう?」

D:「MJQの多くのアルバムにこの曲を吹き込んでいるけど、ここでは、アルトサックスのルー・ドナルドソンが加わっているから、実に新鮮。一段と充実している。

それにしても、ブルーノートRVGセレクション、リマスター技術により随分音がよくなったものだ。録音年月日が古いからといって敬遠する人がいれば、是非一度聴いてもらいたいね。先入観が変わるよ。ブルーノートは5000番台がいい! 

初めてジャズに接する人、クラシック好きの人、ジャズを少しでも聴いてみたいと思ったことのある人、ヴィンテージ風の味わいを求めている人、全17曲モダンジャズの醍醐味がぎっしり詰まった、このアルバムからスタートです。」