第89回 不滅のジャズ名曲-その89-恋人よ我に帰れ( Lover Come Back To Me)

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星へのきざはし

Django:「"Lover Come Back to Me”は、大変有名な曲でジャズスタンダードとしてこれまで多くのプレーヤーに演奏されてきた。"恋人よ我に帰れ"と訳されている。  Oscar Hammerstein II(作詞)、Sigmund Romberg(作曲)の名コンビにより、1928年に作られたブロードウェイ・ミュージカル、"ザ・ニュー・ムーン"のナンバー。ジャズ・ヴォーカルでは、ミルドレッド・ベイリーが1938年に録音しており、この曲の決定的名唱といわれている。その後、ビリー・ホリデイも1944年に録音している。ヴォーカル以外では、ロイ・エルドリッジが1936年、レスター・ヤングが1946年、ディジー・ガレスピーが1948年にそれぞれ吹き込んでいる。」

Murphy「最近の録音で、おすすめは?」

D:「こういう1920年代から30年代の曲を演奏させたら、ピアノでは、やはりビル・チャーラップ(Bill Charlap)がうまいね。2004年秋にヴィーナス・レコードに録音された、Stairway To The Stars(星へのきざはし)というアルバムの1曲目に収録されている。冒頭から思わず引き込まれる。軽やかなタッチで聴き手を引きずり込む力は、この人ならではもの。歌うような演奏。しかもスリルがあり斬新だ。このアルバムは、スイングジャーナル誌の読者のリクエストに応えたスタンダード曲を収録しており、初めてジャズを聴く人から、ベテランまで広くおすすめできる名アルバム。」

M:「あれー、確かLover Come Back to Meって、以前に採り上げたんじゃなかった?」

D:「あっ、そうだった! 思い出した。第60回でね。その時はホッド・オブライエン・トリオの演奏だった。」

第88回 不滅のジャズ名曲-その88-アイ・オンリー・ハヴ・アイズ・フォー・ユー(I Only Have Eyes for You)

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マイ・ロマンス スタンダード・コレクションVol.1

Django:「スウェーデンのコルネットとギターとベースのユニークなトリオ、Sweet Jazz Trioは、随分前に一度紹介したことがあるけれど、もう一度採り上げてみよう。」

Murphy:「Sweet Jazz Trio。覚えているよ。とっても暖かくて大人の寛いだジャズを聴かせるグループ。北欧のジャズって、シンプルで、アコースティック楽器の音色を大切にした演奏が多いね。特にこの時期、冬の夜にジャズを聴くのにピッタリだ。」

D:「このグループ、編成がユニークだね。ドラムレスで、ピアノが入っていないから、それぞれの奏者の絡み合いがよく出ている。しかも、スタンダード曲を中心に演奏し、歌ものが非常に得意だから、いつでもどこでも聴ける。しかもセンスがいい。」

M:「そうだね。部屋の雰囲気まで変わるね。」

D:「今回は、2005年に発売されたアルバムで、タイトルは"My Romance" -Standard Collection Vol.1。このなかの2曲目に入っているI Only Have Eyes for Youという曲は、Harry Warrenが1934年に作曲したソングで、その後ジャズスタンダードになった。コールマン・ホーキンスが1935年に録音している。ジャズを聴いて心が落ち着くとは、このSweet Jazz Trioのような演奏のことを言うのだろう。」