

LEAK STEREO 30にJensenのスピーカーを接続して模索中。
D/Aコンバーターを換えてみた。マランツのPM75に搭載のD/Aコンバーターを、47研究所の信楽焼D/Aコンバーターに変更した。つなぎ終わって音出ししてみると、クリアになった。解像度がよくなった。ベールが剥がれたような感じがする。ポール・デスモンドのアルトサックスとジェリー・マリガンのバリトンサックスがともに鮮明になった。
次にクラシックのCDをかけてみた。ブルーノ・ワルターのハイドン交響曲第88番。音を出してみると、ああこれはまずい。弦楽器がキンキンする。落ち着かない。少しうるさくなった。オーケストラはマランツのD/Aコンバーターの方がいい。
LEAKのアンプは2日目。いっそう調子がよくなった。このアンプにマランツのD/Aコンバーターとの組み合わせ。そしてスピーカーはJensen。このコンビネーションがいい。これまでの他のシステムと全然違う音がする。特に現代のオーディオシステムと較べると明らかに違う。古いCDが生き生き鳴り出した。50年代、60年代、あるいはもっと時代を遡って40年代。これまで古い音源の再生はなかなかうまく行かなかったが、見違えるほどよくなった。これでLPをかけなくてもよくなった。
古い録音の音源をうまく再生するなら、当時のオーディオ装置の方がいいといわれる。このことは容易に想像できる。でも実際に古いオーディオ装置をつないでも、よほど状態を整備しないとうまく鳴らない。整備されたものとなると、メンテナンスに費用がかかり値段が上がる。古いオーディオ装置を使うにはけっこうお金がかかる。
だから古い録音を最新の機器でうまく再生できないかと思い続けてきた。あるいは、真空管アンプを使えばよくなると思ってきた。CDプレーヤーやウォークマンにスピーカーは新しくてもいいのでないか。決め手はアンプ。そのアンプを真空管にする。これがこれまでの自分のオーディオの方程式だった。でも、いろいろと試行錯誤してみたが、なかなかうまくいかない。
CDプレーヤーやウォークマンなどのデジタルソースの再生は、D/Aコンバーターが決め手となる。古い録音であろうと最新録音であろうと、気に入ったD/Aコンバーターが1台あれば用が足りる。だから入力装置については、必然的に迷わずに決まってくる。1ビットよりマルチビットの方を選ぶ。マルチビットならフィリップスのTDA1541Aがいい。これがマランツのPM-75に搭載されている。いまのところうまく動いている。当分の間大丈夫だろう。80年代の終わり頃のこのD/Aコンバーターがいまでも一番だと思える。
入力装置はこれでいいとして、問題はアンプとスピーカーだ。今回のJensenスピーカーはそれほど期待していなかったけれど、LEAKのアンプとの出会いで生き返った。もともとこのスピーカー、状態のよくないものを手に入れた。実は以前からJensenの復刻8インチスピーカーのための箱を探していた。最初は自作しようと思った。ところが意外に高くつく。それならこのスピーカーが取り付けられる中古の箱を探そうと思った。運良く1970年代初頭のJensen2wayスピーカー(JENSEN MODEL 2)が見つかった。ウーファーはエッジがボロボロだった。さっそく手持ちのユニットに交換した。接続して再生してみると、思った以上に良い音で鳴り始めた。このスピーカーシステムのツィーターとネットワークは生きている。アッティネーターも問題なく動作した。
しばらく鳴らしていたら次第にまとまりが出てきた。こんなにいい音で鳴るとは思っていなかった。新しく換装したスピーカーも最初から搭載されていたように自然に音がつながっていた。さっそくFrequency Analyzerで物理特性を調べてみた。100Hzから600Hzまでの中低域が分厚く、高域は3000Hzから20000Hzまでしっかり出ていた。音質面では、特にツィーターがいい。神経質でなくギスギスせず、楽に鳴ってくれる。あとはウーファーをアルニコタイプに換えてみることも今後の課題として残されている。
JENSEN MODEL 2は、1970年代前半に発売された。クロスオーバー周波数は1.2kHz。密閉型。重量9.9kgでしっかりした箱に収まっている。箱の中は吸音材がぎっしり詰まっている。今後ウーファーによって音質は変わってくると思うが、基本的な素性は非常にいい。最新の録音ソースを鳴らすスピーカーではない。どちらかといえば古い録音に向いている。ジャンルは選ばない。選ばないというか、言い方を変えればオーケストラを含めクラシックもうまく再生してくれる。世の中には、ジャズは得意だがクラシックは苦手というスピーカーは多い。一般にJBL、ALTECもどちらかと言えば、ジャズ系、ポピュラー系が得意だと思う。その点このJENSENは、ジャズもクラシックもうまく鳴らしてくれる。米国スピーカーだけれど、ヨーロッパ系のスピーカーのようにクラシックをうまく鳴らしてくれる。
LEAK STEREO 30は、QUAD303よりも自分には向いている。見かけはおとなしいが、スピード感があり、しっかり音を出す。音が濁らず透明感があり、個々の楽器の音色がいい。これで聴くと、チャーリー・パーカーもレスター・ヤングも見違えるように生き生きと歌い出す。特にヴォーカルなどは驚くほどリアルに再生する。他に代えがたい貴重なアンプだ。