マーフィーのオリンパスE-410レポート

オリンパスE-410のデザイン

デジタル一眼レフのなかで、2007年6月現在、最小、最薄、最軽量なE-410。実際に手にしてみると確かに小さい。右手のグリップがなくなると、こんなにもすっきりし、デザインがよくなるのかとつくづく思う。

オリンパスならではの、コンパクトさがやっと実現した。もともと右手のグリップなど不要だと、以前から指摘していたが、現実にグリップ部をなくしてしまうには、電池格納室や内蔵フラッシュ用のコンデンサーなどを本体に移さねばならないため相当設計が大変になる。それをE-410は実現したのだから、さすがオリンパス、大したものだ。

E-410のデザインは、コンパクトに凝縮しただけあってムダがなく、眺めてもよし、手に持っても愛着がわき機能美が備わった。徹底的に追い込んでコンパクトに凝縮したものは、贅肉がとれ、精悍さが現れる。個人的には、内蔵フラッシュは省略してほしかった。もし、内蔵フラッシュを搭載せずに、メモリーカードもCFカードを取り去り、SDとxD-ピクチャーカードにすれば、さらにコンパクトになっただろう。内蔵フラッシュを立ち上げてみると、ペンタ部が現れるのだが、これがOM-1そっくりだ。このペンタ部の高さがこんなに低く設計されていたのかと驚いてしまう(少しでも低くするためにクイックリターンミラーの傾斜も45度以上になっている)。

アウトドア仕様、オリンパスμ770SW発売開始

アウトドアのために生まれたカメラOLYMPUS・μ770SWが3月2日発売された。昨年秋に発売されたμ725SWとの主な違いは、水中5mまでだったのが10mまで防水機能が強化されたこと、さらに堅牢性が増したこと、マイナス10℃の環境での動作を可能にしたこと、ハイパークリスタル液晶モニターの表面輝度アップならびにコントラスト比が20%向上したことなどがあげられる。μ725SWから短期間で新モデルのμ770SWを発売したことは、オリンパスのこのシリーズへの意気込みが感じられる。強化された性能をみると、どれもより本格的なアウトドアへの対応力を高めたものであり、決して表層的なマイナーチェンジでない点で好感が持てる。
実は、昨年11月からμ725SWを使用して以来、まだ3ヶ月した経過していないが、こんなに早くその上位機種が発売されるとは思ってもいなかった。μ725SWも継続して販売されるようだ。μ770SWとμ725SWは、仕様を見る限りレンズ構成は変わらない。8群10枚で、その内EDレンズ1枚、非球面レンズ3枚という非常に凝った構成である。このあたりのスペックで、オリンパスのレンズに対する妥協を許さないこだわりが感じれる。焦点距離は6.7mm〜20.1mmで、35mmカメラ換算では、38mm〜114mmの光学ズーム倍率3倍で、開放F値はF3.5(W〜F5.0(T)である。
これまでμ725SWを使用してきたなかで、一番実用的だと思った点は、レンズが飛び出さないことである。これは実際に使用してみないとなかなかその便利さが実感できないが、電源を入れて撮影状態に入っても、レンズがボディ内に格納されたままの状態で撮影でき、望遠側にズームしても飛び出さないという点が大きな特徴である。レンズがボディに格納されたまま撮影可能であるということは、最もアウトドアで役立つ機能だと使ってみてつくづく思った。いくら沈胴式のレンズを搭載しても、撮影モードでレンズが飛び出すと、レンズ部をどうしてもかばうようになり、ラフな使い方はできなくなってくる。その点μ725SWはレンズが飛び出さず、撮影時の軽快さを維持している。
レンズ表面の撥水コート処理も不可欠な機能である。雨にぬれたり、水の中につけると、必ずレンズに水滴が付着し、取り除かないと画像がぼけてしまうが、この処理によりレンズ表面にほとんど水滴が残らなくなった点は、小さな工夫であるが、実用上大変役にたつ点である。
レンズについては、現状35mm換算で広角側が38mmであるが、これがもう少し広角側にシフトしてくれればよいのだが。あとわずかであるが35mmになればさらに実用価値が高まると思う。カメラの写りについては、実用上全く問題ないレベルである。この種のアウトドア用カメラは、記録性が第一であり、「ちゃんときちっと」写ればよいと思っている。「ちゃんときちっと」ってどの程度かといえば、いざというときにA4サイズぐらいまで引き延ばしても十分鑑賞に耐えられる写りだと思っているが、すでにその程度の描写力は、この機種を含め500万画素以上のカメラなら十分合格点をつけられる機種も多いわけであり、とくにこの機種においても描写性能はなんら問題ないといえる。というより、ボディ内にレンズが格納されたまま飛び出さないという制約のなかで、新開発された屈曲型のレンズでありながら、従来型レンズと同等以上の描写性能を持っていることが特筆すべき点である。P1120010一昔前までのデジカメは、画素数が増大しても、レンズ性能がついていけず、写りのよくない機種がかなり存在していた。特に歪曲収差については、いまでもいっこうに改善されてない機種も依然存在する。デジタル一眼レフにおいても、デジタル対応以前の旧モデルの廉価版ズームレンズを装着すると、とたんに描写性能が劣化するものが少なからず存在する。デジタルカメラにおいては、レンズ性能が非常に大切であることは言うまでもない。その点、オリンパスのデジカメは、画素数とレンズ性能との関係において、非常にバランスがよく、レンズについては決して妥協しないメーカーである。このことが、μ725SWにおいても実感できた。
振り返れば、オリンパスペンが開発されたとき、ハーフサイズなるが故に、レンズの重要性を認識し、高性能なレンズを搭載し、結果としてハーフサイズながら35mmフルサイズにも負けない描写力をもったことが、その後のペンシリーズの爆発的な人気に至ったわけである。P2260045オリンパスペンシリーズは、いまだに大切に使っているが、このμ725SWを使っていると、どこかペンを使っているときのような気分になる。オリンパスペンを持って撮影にでかけると、いまでも肩の力が抜けてリラックスした気分になる。小型軽量のボディでレンズも飛び出さないし、ハーフサイズ独特の軽快感が楽しい。撮影する視線も変わってくる。いままで見逃していた光景やモノに注目するようになる。これを自分では「PEN効果」と勝手に思っているが、そういった気軽さが、μ725SWを使っているときも感じられる。しかも、ペンと違って、今度は、防水だ。堅牢性は高い、その上1ギガのカードを入れれば数百枚写せる。レンズも、ペンの思想と同様、こだわりを持っている。いざというときは、大きく引き延ばせる。あとは、次期モデルで、なんとか広角側が35mm(35mm換算)にならないかと願っている。 
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撮影データ:( )内は35mm換算の焦点距離
 左上:μ725SW 6.7mm(38mm) 1/20秒 F3.5 ISO200
 右下:μ725SW 6.7mm(38mm) 1/500秒 F6.3 ISO80

10m防水の耐衝撃デジカメ、オリンパス「μ770SW」

昨年11月に発売された防水・耐衝撃デジカメ「μ725SW」がさらに進化し、上位機種「μ770SW」が発売される。「μ725SW」は併売されるらしい。「μ725SW」は、防水機能が水深5mであったが、今度のモデルは10mまで向上した。また追加機能としては、気圧、標高、水深、水圧の液晶モニター上での表示機能ならびにExifへの記録が可能となった。その他は従来機種と大差ないようだ。
このシリーズは昨年から好評で、オリンパスのデジタルカメラ部門の売り上げにかなり貢献しているらしい。このシリーズのような、防水、耐衝撃機能は、アウトドアユースで最も重宝するが、日常生活上でも万一の落下や雨天時の使用などでも、非常に役立つ機能だ。以前に、リコーGR-1をうっかり落下させ、修理不能といわれたときから、日常生活道具としてのカメラに、こういった耐衝撃機能の必要性を痛感いたが、そこに10mまでの防水性が加わると、さらに利用範囲が広がってくる。
実は、このシリーズの「μ725SW」を使用して、すでに3ヶ月になる。いつもポケットや鞄に入れている。カメラというものは、いつどこで必要になるかわからないので、常時携帯することにしているが、いまのところ「μ725SW」はほとんどのニーズを満たしてくれている。雨の日でも安心して持ち歩けるし、特にイヌの散歩の時には、急に衝撃がかかったり、水滴がかかることもあるが、全く気にせず使用できるのがよい。イヌをつれて川を渡るときでも、自由に撮影できるようになった。何度か、川の水面下につけて撮影したが、なかなか面白い写真が撮れることも体験した。川水につけたあとは、水道の蛇口に近づけ丸洗いをするのだが、横で誰かが不思議そうに見ていたこともある。
いずれにしても、防水・耐衝撃機能は、日常さまざまなところで求められるのだけど、さらに過酷なアウトドアユースも含めて、使用可能な全天候カメラとして、開発した企画コンセプトは、ニーズを的確に読んでおり、評価すべきだと思う。防水専用カメラをイメージすると、古くは、ニコノスという全天候カメラがあったが、一時はこれを雨天時の散歩カメラで使っていたことがなつかしい。あるいは、アルプスで雨が降るたびにカメラをザックにしまっていたことも思い出す。専用防水パッケージも不要で、本体がむき出しのままで、しかも超薄型で、ポケットに入るデジカメがここまでの機能を持つと、これはまた新たな写真表現の可能性をもたらすのではないかと、思いめぐらすことも多い。

オリンパスの新モデルSP-550UZはなんと光学18倍ズーム機

2007年に入り、いよいよオリンパスの攻勢スタートか。昨年秋に、「E-system」宣言が発表され、今年はその第2章が始まろうとしている。各社のデジタルカメラのなかで、今後オリンパスが最も期待できそうだ。将来に備えた特許技術もかなり揃ってきており、いよいよ機が熟してきた感じである。
そうしたなかで、そのプレリュードというべき、新製品が国内発表された。レンズ一体型カメラで、光学18倍ズーム機「SP-550UZ」。なんと、28mm〜504mm(35mm換算)のウルトラズームを搭載し、開放F値がワイド側でF2.8、望遠側でF4.5という、驚くべきスペックだ。EDレンズ:2枚、非球面レンズ:4枚搭載。フォーカスは、同クラス初の前群移動方式を採用し、従来にはない新しい工夫がなされているらしい。また、高倍率ズームレンズで気になるディストーションも、ワイド側、望遠側ともにかなり押さえられているようだ。感度は、ISO50〜5000までの超高感度を有する。しかも、CCDシフト式手ぶれ補正機能を搭載。連写性能は710万画素HQモードで1.2コマ/秒だが、 120万画素にすると最大15コマ/秒の高速連写が可能。あと気になる点は外観だが、写真で見た限りなかなかスタイリッシュでよいデザインだ。コンパクトで引き締まり、重さは365gで大変軽量。
それにしても、今年のオリンパスの勢いを象徴するような新モデルの登場で、やはり、オリンパスの宣言した第2章は間違いなく始動したといえる。いよいよデジタル一眼レフ部門での新モデル発表が楽しみだ。
オリンパスホームページ

手になじみいつまでも愛着がわくオリンパスペンFT

Penft「手に馴染む」ということが、最もよく当てはまる、オリンパスペンFT。
デジタル全盛時代を迎え、各種デジカメが発売されても、未だに「手によく馴染む」と感じるカメラはそれほど多くは見当たらない。かえって以前のフィルムカメラの方が、両手でカメラを構えたときに、グリップなどなく、自分なりに工夫した自由な持ち方が出来て安定する。

コンパクトデジカメを除くデジタル一眼レフは、いずれの機種も複雑な曲面で構成され、どのメーカーも申し合わせたように、右手のグリップ部分が張り出し、正面左側にしっかり配置されている。右手の構え方は、このグリップ部分を握りしめるので、誰でもほぼ同じような構え方になる。ところが、人間の手は、人によってサイズが異なる。大きな手の人は、グリップが小さく感じられ、持てあましてしまう。反対に小さな手の人は、グリップが大きすぎて、人差し指がシャッターレリーズボタンに届きにくく感じる。いずれのメーカーも、標準的な手の平サイズから割り出して人間工学的に設計していると思われるが、実際にはメーカーの機種ごとにサイズは異なっている。

フィルムカメラの全盛時代、80年代以前には、もともとカメラにグリップは標準装備されていなかった。オプションでグリップを装着するものが存在するくらいであった。グリップがないから持ちにくいか、といわれたら、ほとんどのユーザーはそうは考えていなかったと思う。むしろ、グリップなどがあれば、そこに手を置きなさいと、なんだか強制されているような感じもする。カメラは、横位置、縦位置のいずれでも撮影されるが、もともと人によって持ち方は様々で、それぞれが自分の経験をもとに、独自のスタイルを工夫していたのではなかったか。経験を積んでいくうちに、そのカメラの癖を知り、自分の納得のいく持ち方で、手に馴染ませながら、次第にスタイルを固めていったという人が多い。使うほどに手に馴染み、カメラに対して愛着もわいてくる。例えばハッセルブラッドなど、最初は少し戸惑うが、その作法を心得ると、不思議に手によく馴染む。

実を言えば。デジタル一眼レフの、堂々としたグリップを持った姿が、未だにあまり好きになれない。もちろんデジタルの機能性については、十分理解しているつもりであるが、カメラそのもののスタイル自体にあまり愛着がわかないということは今でも変わらない。贅肉を取り払い究極まで突き詰めたデザインが、日本のカメラの優れた点であった。デジタルカメラは一方では驚くほどコンパクトになりついにカードサイズまで至った。他方、デジタル一眼は、いずれの機種も大容積だ。電池のサイズは、フィルムカメラ時代のボタン電池から見ると肥大になった。バッテリーの収納場所は大きくとらなければならず、いずれもグリップ部分に位置している。人間のためのグリップと、電池の格納庫としての機能が重なっている。

オリンパスペンFTと同等のサイズでグリップなどがついていないシンプルで、「手に馴染む」デジタル一眼レフを発売してほしいと以前から思っている。オリンパスペンFTは、横位置でも縦位置でも、どちらも構えやすい。ペンタプリズムの出っ張りが無いので使いやすく、収納しやすい。

フォーサーズシステムのCCDはハーフサイズよりも小さなサイズである。E−330は、ライブビューというオンリーワンの優れた機能を持つが、残念ながら大きなグリップ付きで、ペンタプリズムを無くした効果が、デザイン上あまり生かされていない。それと、カメラにまだまだ厚みがありすぎる。せっかくサイドスイングミラー&ポロミラー式光学ファインダーを採用して、ペンタプリズムの出っ張りを無くしているのだから、もっと魅力的な形状を今後は期待する。E-330はE-300の発展型で、新たにライブビュー機能を搭載し、他メーカーにはないオリンパスならではの独自性を持った魅力的な機種である。液晶ファインダーでライブビューが可能になりウエストレベルファインダーのように使用できる。実用性の高い大変便利な機能だ。あとはデザインの問題だけ。(もっともE-330はE-300よりずっとスタイルがよくなったと思うが。) E-330の次には、ペンFTに近いコンパクトサイズでシンプルで贅肉を取り払ったものを期待する。いわばコンパクトカメラサイズのレンズ交換式一眼レフである。交換レンズも、単焦点でよいからもっとコンパクトなものが同時に出ないだろうか。
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オリンパスはもともとペンシリーズやOMシリーズで、他社にはない独自のコンパクトなものを開発してきた。
ペンFシリーズもOM一桁シリーズも、未だに根強い人気がある。極限まで切り詰めたアイデアが、コンパクトでしかも手に馴染む形状に至っている。一度これらの機種を使えば、手がその使いやすさを覚えてしまい、カメラを持って写す楽しさが深まり、手放せなくなってしまうのだ。
以前のカメラは、金属ボディの制約上、複雑な形状は困難であった。プラスチック素材、マグネシウム合金などを用いる現在のカメラは、以前に比べるとずっとその形状の自由度は高まった。しかしそのことにより、カメラのデザインは、シンプルで飽きのこない優れた形状を容易に生み出せなくなってしまった。「素材の制約は、自由が利かないが故に、作為的にならず、本当に必要な機能のみを整理して表出するので、シンプルで優れた形状を生み出しやすい」。皮肉なことである。
ペンFTは、ハーフサイズで35mmフルサイズに比べるて画質の点では劣る。でも、今でも使ってみたいと思うのは、手に持って撮影するときの感触がすばらしいからだ。スケッチブックを持ち歩くような感覚、その画用紙のサイズは、小さくてもよい。ハーフサイズでもよいのだ。自分のその日見た光景、思ったこと、感じたことをいつも記録するのに、コンパクトさは大切だ。

Canon Powershot G7

R0012774最近のデジカメは、発売と同時にメーカーが十分な供給量を確保している。大半の新製品は、発売直後でも大半が予約なしで買える。かつてフィルムカメラの時代は、発売直後はなかなか手に入らなかった。デジカメは、日進月歩で寿命が短く、おそらく最も売れる時期は発売直後の1〜2ヶ月で、4〜5ヶ月後には売り上げが鈍りだし、下降線をたどるものが多い。だから、メーカーも発売直後から在庫を切らさないように十分な供給量を確保しているのだろう。

ところがそんななかで、近年めずらしく発売直後から品薄状態のデジカメがある。キャノンのPowerShotG7だ。どこの店でも在庫がなく、大手量販店でも現在2〜3週間待ちの状態である。店頭で聞けばかなりの人気商品だと言う。

このカメラは、最近のデジタル一眼レフラッシュの影に隠れて、雑誌などでも、まだあまり紹介されていない。でも店頭ではデモ機に注目している人が多い。このカメラに関心を持つ人は、おそらくフィルムカメラ時代からの写真愛好家だろう。現在主流のコンパクトデジカメとは姿形がかなり異なる。最近のコンパクトデジカメは大半が大幅にスリム化され、重量も100g台で大変軽い。もう、限界まで小さくなったという感じだ。これ以上縮小されると、持ちにくく、撮影が一層困難になる。レンズは屈曲型も開発され、ズームでも伸び縮みしないものもある。

久々にカメラらしい雰囲気を持ったモデルだと思わせるのがこのG7。どちらかといえば「ふつう」のカメラという感じだ。他のコンパクトデジカメがフィルムカメラの面影から相当離れていったので、かえって今ではG7のような「ふつう」のデザインは新鮮だ。正面から眺めてもまとまっている。上面には左右にクリック感触のよいダイヤルが2つ並んでいる。大半のカメラが省略してしまった光学ファインダーも健在だ。ブラックフェイスのボディは金属のしっかりした大変つくりのよい質感を持っている。カメラを構えたときの安定感がなにより優れている。カメラの底面を見ると、made in Japanと書いてあった。以前はあたりまえであったが、最近は本当にジャパン製が少なくなった。

重量は、300g以上あり、十分な手応えがある。重すぎず軽すぎずといったところか。このカメラは、ボディの左右にストラップをつけて首からぶら下げるようにできている。シャッターボタンの感触もよい。カメラはシャッターを押したときの気持ちよさが大切だ。

最近のデジカメはどのメーカーもそこそこの写りのよい画質を持っている。写りの悪いモデルを探す方が大変だ。きれいに写るという面では、どれも水準以上をクリアーしている。だから、G7の写りがよいといっても、他のモデルもそれなりによくできているので、突出した長所にはならない。でも、肝心の写す道具としてのカメラの形状や質感、レバーやダイヤルの操作性などは、大差があり、そういったユーザーインターフェースの部分では、断然このモデルが光っている。このあたりは実際に手に取り、使ってみないとわからない部分だ。

今回新たにボディ上面に配置された感度(ISO)設定ダイヤルは、他に例を見ない独自のものだ。デジカメはフィルムカメラと違って、感度を自由に変えられるのが特徴であるのに、これまでは、液晶ディスプレイを見ながらの、わずらわしい操作が必要であった。このダイヤルは重宝する。また、液晶ディスプレイ上での、絞り、シャッタースピード、露出補正などの変更どきのビジュアルインターフェースも実にうまくできている。絞り優先時に、ダイヤルを回せば、ディスプレイ上に絞り値のスケールが表示され、これまでカメラ経験の豊富なユーザーとっては、大変わかりやすく気持ちのよい操作ができる。

オートフォーカス性能については、メーカーごとに未だにかなりの能力差があるように思う。オートフォーカスの反応が鈍い機種は、スピードの遅いパソコンを使っているような気分だ。一般にコンパクトデジカメは、デジタル一眼レフに較べ、フォーカスのレスポンスが遅い。一眼レフはデジタルでも従来のフィルム一眼レフと同様にレンズのとらえた実像からフォーカスを検出する方式でかなり高速なのに対し、コンパクトデジカメはCCDの受光した画像のコントラストを検出するため、どうしても遅くなってしまう。G7は1点測距、AiAF測距、顔認識測距という3つのフォーカス方式を選択できるが、いずれもレスポンスは、まずまずといったところだ。コンパクトデジカメのなかではけっこう速い方の部類に属すると思うが、デジタル一眼レフに較べると反応はやや遅い。瞬間を切り取るスナップ撮影時の速写性という点では、まだまだ鈍い感じだ。このあたりは、現在のコンパクトデジカメの宿命で、今後の課題だろう。ただG7は、合焦すればピントを外すことは現在のところ全くなく、迷うこともない。だから一応信頼性は高いと言える。

コンパクトデジカメをマニュアルフォーカスで撮影する人はあまりいないと思うが、G7の場合、実はけっこうスムーズにマニュアルでフォーカスを合わせることができる。ダイヤルを回せば、液晶ディスプレイ上に拡大画像と距離計が表示される。現在のコンパクトデジカメはCCDサイズが大変小さく(大半のモデルが1/2.5インチサイズで、G7は少し大きな1/1.8インチサイズ)広角側のレンズの焦点距離はG7の場合、7.4mmである。これは35mmフィルムカメラでは超広角レンズに相当する。従って被写界深度(ピントの合う範囲)は大変広く、G7を広角側で使う場合は、大半パンフォーカスで事足りることになる。つまり街角でのスナップショットの場合は、G7をマニュアルフォーカスに切り替え、距離目盛りを3mに固定しておけば、1mから無限大まで常時ピントがあうということだ。オートフォーカスが必要なのは、近接と望遠域で使うときだけだ。デジタル一眼レフの場合は、CCDが大きなAPSサイズなので、そうはいかない。このように考えると、コンパクトデジカメを広角で使う場合は、けっこう速写性があり、スナップショットには最適だと言える。

かつて90年代のはじめにコニカヘキサーが登場した。そのヘキサーは、初めて自分がコンパクトカメラのなかで信頼をおいたカメラだ。以来現在まで未だに現役で、軽量でコンパクトではあるが少し大きなこのカメラは、海外でもずいぶん使ってきた。ヘキサーが発売された頃に、京セラが出したコンパクトカメラはより高級仕様で、ヘキサーよりはるかによく売れたが、自分では最後まで使う気になれず信頼を寄せることができなかった。その理由は、オートフォーカス性能だ。ヘキサーのフォーカス性能はレスポンスも速く実に安定していた。それに較べ京セラのものは安定感がなかった。だからデジタルになっても、オートフォーカス性能はいつも一番重要なものだと思っている。ところがコンパクトデジカメの場合は、広角側ではもはやパンフォーカスになってしまったのだから、ある意味では絶対にフォーカスを外さない最強のスナップショットカメラであるといえる。だから、コンパクトデジカメの場合は、マニュアルフォーカスが即座に設定できるかどうかは、案外大切なことだ。G7は大変便利なマニュアルフォーカス設定機能を持ち、実用的であるが、開発者はおそらくこのあたりの事情を意識して、オートフォーカス精度が相当高いにも関わらず、使いやすいマニュアル設定用ユーザーインターフェースをあえて用意したのではないかと思う。

実は、このG7を待ち歩いているときに、90年代に購入したヘキサーのことをふと思い出した。ボディサイズは全く違うし、レンズも違う。G7はズームに対し、ヘキサーは35mmの単焦点だ。でも、道具として使ったときの自分の気持ちが、G7もヘキサーもなぜか不思議にも似ていた。それはカメラとしての気持ちのよい操作とボディの剛性などからくる信頼感なのかもしれない。G7は広角側が35mmのF2.8で、28mm領域がないのが残念だという人もいるが、自分にとってはG7の電源ONと同時に、いつもデフォルトで35mmレンズであることの方が都合がよく、長年ヘキサーを使い自分には一番慣れた35mmだから、余計にお互い似ており、使いやすいと思ったのかもしれない。それと、首からぶら下げたときの重量感も似ている。ヘキサーとG7は、ともに優れたスナップショットカメラだ。本当は、今はなき旧コニカからヘキサーのデジタル判が発売されるのを密かに期待していたが、ソニーに吸収されて、可能性は相当低くなったので、とりあえずはこのG7を当分のあいだヘキサー後継機にすればよいと思った。
(2006年12月2日投稿の再掲載)

オリンパスE-330/フォーサーズ

Pc1102462006年度のベストデジタル一眼レフは?
独断と偏見に満ちているが、自分では、第一位にオリンパスのE-330を推したい。
デジタル一眼レフでありながら、世界初の液晶モニター上で「ライブビュー」を実現した。
独創性では、随一だ。
ファインダーをのぞかずに、可動式の液晶モニターを見ながら撮影できる。
コンパクトデジカメでは、今や当たり前のこの機能が、デジタル一眼レフでは、これまで出来なかった。実際に使ってみると、その便利さを痛感する。ローアングルからハイアングルまで、様々な撮影スタイルが可能だ。

フォーサーズ撮像素子の写りは、オリンパスE-1のときから気に入っている。諧調表現が豊かで、フィルムカメラのような自然な描写だ。E-1は500万画素で、今では少し物足りないのではないかと思われるが、まだまだ現役で十分通用する写りだと思う。それどころか、最近の各メーカーの1000万画素の画像を見ると、かえって500万画素E-1の自然な写りは、貴重に思えてくる。500万画素より1000万画素の方が写りがよいとは限らないし、画素数以上にどれだけ広いダイナミックレンジを持ち、諧調性に優れるかといった点の方が重要だ。

フォーサーズは結局のところ、豊かな諧調表現にその特徴があるような気がする。よく雑誌などで、各機種の比較テストが掲載されている。所詮印刷物で小さな画像を較べても、その違いがわかるわけでもなく、いきおい評価記事を読むことになるが、微細にとらえすぎていたり、小手先の性能ばかりが先走り、画質そのものの決定的な評価になっていないものが多い。こういった写りに関しては、実際に自分が撮影して評価しないと、なかなかわからないものだ。

フォーサーズの評価もいまのところまだまだ未知数であるというのが本当だろう。ただ、自分のフォーサーズに対する印象を述べるなら(今のところE-1およびE-330の写りしかわからないが)、これら2機種の特徴は、豊かな諧調表現にあると思われる。

解像度の高い、いわゆるシャープネスの高い画像は、コンパクトデジカメを使えばいくらでも手に入れることができる。でも、諧調表現は、画素数を上げても、撮像素子が小さければ限界がある。一般に撮像素子が大きくなれば、1画素あたりの受光面積は広がりダイナミックレンジは広くなる。これはフィルムの場合でもそうだ。35mmとブローニーを較べると、ブローニーの方が諧調豊かである。いわゆる空気感が表現されるもいえる。さらに4×5になると、気配までも感じられる。単純に解像度があがったというよりも、被写体の存在感が高まるということだ。そういった意味で大きな撮像素子は、受光面積が広がり、豊かな表現能力が得られる。

従って、コンパクトデジカメでAPSサイズの一眼レフと同等の写りを期待しても、原理的に無理があるし、たとえ同一画素数であっても、写りのレベルは異なる。でも、フォーサーズとAPSであれば、CCDの開発コンセプト次第では優劣つけ難いということも十分期待できる。

フォーサーズは、現在主流のAPSサイズよりも一回り小さい。でも、コンパクトデジカメの1/1.8サイズや1/2.5サイズよりもはるかに大きい。撮像素子が小さいほどレンズも小さくできる。しかも軽量小型で明るいレンズを作ることができる。CCDサイズとレンズのボリュームとの関係から、最適なカメラサイズが決定されるが、そういった意味では、APSサイズよりも小型で、それと同等以上のダイナミックレンジが確保できれば、システムとしては、より魅力的で可能性のあるものが生まれる。フォーサーズはそのあたりを見越して開発されたと思われる。今後が楽しみだ。その評価はまだまだ先を見ないとわからないと思う。
Data: Olympus E-330  ZD14-54mm F2.8−3.5 14mm(28mm)・1/640・F3.5・ISO100・露出補正0.0EV
(2006年12月10日投稿の再掲載)

ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5

<a Pc110372_1オリンパスのフォーサーズマウントレンズのなかで、ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5は、E-1と同時に最初に発売された標準ズームレンズ。すでに3年ほど使っているが、実用性の高い優れたレンズだと思う。このレンズに出会ったからから、フォーサーズマウントを使い続けているともいえる。

一般に、ズームレンズは、歪曲収差が大きく、特に広角側では、樽型の強いくせが出て、建築写真などでは実用にならないものが多い。まっすぐな柱が曲がって写ると、それだけで評価は下がってしまう。現行の各メーカーの標準ズームレンズは、未だに広角側でかなりの歪曲収差が目立つものが多い。

ZUIKO DIGITAL 14-54mm F2.8-3.5は歪曲収差がかなり押さえられており、これだけで実用価値が高まる。また、周辺光量が劣化せず、画面の隅々まで画質がよい。昔からズームレンズはあまり好みではなかったが、その理由は、直線がまっすぐ写らず歪んでしまうからだ。また、大半のズームレンズは、F値が暗く、しかも大きく変化する。常々、レンズは2.8から3.5程度の明るさがほしいと思っているが、ZUIKO DIGITALのこの標準ズームは、歪曲収差が目立たない上、ズーム全域で2.8から3.5までの明るさを維持しているから一層利用価値が高まる。しかも、常用できるサイズにまとめられている。このあたりはフォーサーズマウントのメリットが十分感じられる。

3年以上経過し、フォーサーズマウントのレンズもずいぶん揃ってきた。どれも妥協のない優れたレンズばかり。最近、パナソニックからライカブランドの標準ズームレンズも発売された。今年発売予定のズミルックス25mmF1.4を含め、今後の展開が楽しみだ。
Data: Olympus E-330  ZD14-54mm F2.8−3.5  41mm(82mm)・1/400・F3,5・ISO100・露出補正0.0EV
(2006年12月11日投稿の再掲載)

オリンパス/E-330/2007年/フォーサーズ

Pc261573

オリンパスを中心としたフォーサーズ陣営、今年はかなり期待できそうだ。
昨年秋のオリンパス宣言に基づくと、2007年からいよいよ始動開始。これをオリンパスは第2章という。
2006年度は、オリンパスはやたら新モデルを出さずに、時期に備え技術を蓄積してきたといえる。
欧州限定販売のE-400のバージョンアップ版、待望のフラグシップモデルのNewE-1も、今年発売されるだろう。

E-330は実際に購入するまで、これほど使いやすいとは思わなかった。ライブビューの利用価値は高い。背面の液晶ディスプレイは鮮明で、自由に傾けることができるから、Aモード・ライブビューでファインダーを覗かずに撮る機会が増えた。これなら、ハッセルやローライのように、ウエストレベルファインダーでの撮影が可能だ。ウエストレベルファインダーのように低い位置からの撮影は、実に快適で楽しい。この快適さは実際に撮影してみないとなかなか実感できないが、気分はノーファインダーで撮るような感覚、自由な気楽さがある。当たり前の話だが、片眼だけファインダーを覗いての撮影に較べ、こちらは両眼を使って撮影できる。眼が疲れない。

E-330は発売当初、自ら購入するとはまったく思わなかった。購入前は、とにかくデザインが気に入らなかった。E-300よりは少しはましになったかな、という程度で、相変わらずボディー形状に魅力がなかった。でも、実際に使いだすと、いままで嫌いだったこのデザインが、不思議なもので、気にならなくなってきた。このカメラ、縦位置で構えたとき、実に持ちやすくバランスがよい。ペンタプリズムの出っ張りがないことと、ボディー上面がシェーブされていることが、どうもその要因のようだ。使い続けると、レンジファインダーカメラと共通の手に馴染む使いやすさが感じられる。特に、今回海外取材でそのことを痛感した。ペンタプリズムの出っ張りの有無はけっこう大事だな、と思った。ただ、このカメラ、レンジファインダーのような速写性の高い、手によく馴染むカメラにするには、ちょっとした工夫が必要だ。いや工夫というほど大げさなものではないが、それはストラップだ。付属品のストラップは、一般の一眼レフと同じ太いタイプであるが、これは使いづらい。このストラップをやめて、革製の細いストラップに変えてみる。これだけで、ずいぶん使い勝手がかわる。気分も・・・。あとは、もう少しボディーの厚みが薄かったら申し分ないのだが。特にグリップ。グリップはあまり、りっぱな大きなものは要らないのだが。E-400程度がいいですね。もっとレンジファインダー的になってほしい! そこまでいくと、名機になるでしょう。

でも総体的に、E-330は大変満足感の高いカメラ。少なくとも、自分にとっては「手によく馴染む」「縦横自在で写しやすい」「シャッター音が快適」「フォーカスのレスポンスが速い」という、好印象を持ち、今一番よく使うカメラになってしまった。