
1952年の録音。戦後のエリントン楽団を代表する名盤だ。解説の牧芳雄氏は以下のように述べている。「もし、”モダン・エリントン”という表現が許されるのであれば、まさにこのレコーディングが行われた頃、即ち51〜53年の間にエリントンのバンドはその数年前から行われたバップの色彩を十分に消化してモダン・ジャズ的な衣をまとって登場したのであり、そこに私は ”モダン・エリントン”が始まったといいたいのである。(同LPライナーノーツより引用)」
このアルバムのA面3曲目にはTAKE THE “A” TRAIN (A列車で行こう)が収録されている。エリントンのピアノから始まり、ベティ・ロッシュのヴォーカルがバップ・スキャットで彩りをそえている。「A列車」も多くの演奏が残されているが、このアルバムでの演奏時間は8分04秒。後半のポール・ゴンザルベス(ts)のソロワークまで、じっくり味わえる。
それにしても、SP時代には3分程度の演奏しか収録出来なかったけれども、LP時代になって、時間的制約がなくなり、ソロも内容豊富になり、よりライブに近くなった。
ところで、このLPは、50年代前半のモノラル録音だから、戦前のものに比べてずいぶん音がよくなった。アルバムタイトルが「Hi-Fi」と名付けられただけあって、今の時代に聴いても不足を感じない。このLPでは、レコードプレーヤーもカートリッジも、少し工夫を凝らして、中高域に張りのあるものを選んでみた。
カートリッジは、パイオニアのPC-15が最適だ。
60年代後半のオーディオ全盛時代、パイオニアのベルトドライブプレーヤーはベストセラーだった。その時代のプレーヤーに付属のカートリッジである、PC-15。これがいい。MM型カートリッジ。針圧1.7-2.3gで、ずいぶん軽量になった。今でも十分現役で使える。JICOからも交換針が出ている。テクニカのAT-6を少しだけ今風というかHi-Fiにしたような感じ。といっても、音は素直で中域が分厚い。だから、このLPには最適だ。対抗馬は、シュアーのM75か。でも、今はM75よりこちらの方をよく使う。ちなみに、PC-15はジャズだけでなくクラシックにも向いている。ヴァイオリンの音色が素晴らしい。
