ラブラドールが聴いた今日のジャズ-第19回- ワイルダーン・ワイルダー / ジョー・ワイルダー Joe WILDER 220R-50502

ワイルダーン・ワイルダー / ジョー・ワイルダー  ワイルダーン・ワイルダー(紙ジャケット仕様) 限定版

1956年録音の、ジョー・ワイルダー(tp)の名アルバム。トランペットをフィーチャーしたクァルテットの演奏。ピアノは、ハンク・ジョーンズ、ベースはウェンデル・マーシャル、ドラムスはケニー・クラーク。このメンバーを見ただけで名演が期待できる。そのとおり、何度も何度も聴きたくなるアルバムだ。毎日聴いても飽きない。

レーベルはご存じ名門SAVOY。1990年にキングレコードより、「LP絶対支持の愛すべきジャズ・ファンに贈る、最後のジャズLP」と称して、完全限定盤で発売された。解説は大和明氏。大和氏によると、「・・・しかもトーンの美しさは抜群であり、そのフレイジングは流麗かつメロディアスであると共にシンプルな美しさを持っており、スインギーそのものといえる。(同LPライナーノーツより引用)」

1990年に発売直後に購入し、現在まで一番よくかけるLPだ。以前にもこのブログで取り上げた。第32回 不滅のジャズ名曲 -その32- チェロキー(Cherokee) で、ジョー・ワイルダーについて簡単なプロフィールなどを書き留めておいた。よかったら是非ご覧下さい。

愛聴盤だけに、何とか、ワイルダーのトランペットの音をうまく再生したいと思い、いろいろとプレーヤー、カートリッジを替えては聴いてきた。今は、前回取り上げた、60年代後期のパイオニアのカートリッジPC-15が一番いいと思っている。トーンアームは、ストレートアームがいい。PC-15はストレートアームに装着すれば俄然実力を発揮する。トランペットの切れ味とトーンの豊かさが出る。レコードプレーヤーって、トーンアームとカートリッジの組み合わせで本当に音が変わるから、カートリッジの評価は、単体だけではできないと思う。PC-15はストレートアームに取り付けると、驚くほど豊穣に豊かに鳴り響くから不思議だ。

ラブラドールが聴いた今日のジャズ-第18回- Hi-Fi Ellington UPTOWN / デューク・エリントン楽団 SOPM-154

Hi-Fi Ellington UPTOWN (LP)

Hi-Fi Ellington UPTOWN (CD)

1952年の録音。戦後のエリントン楽団を代表する名盤だ。解説の牧芳雄氏は以下のように述べている。「もし、”モダン・エリントン”という表現が許されるのであれば、まさにこのレコーディングが行われた頃、即ち51〜53年の間にエリントンのバンドはその数年前から行われたバップの色彩を十分に消化してモダン・ジャズ的な衣をまとって登場したのであり、そこに私は ”モダン・エリントン”が始まったといいたいのである。(同LPライナーノーツより引用)」

このアルバムのA面3曲目にはTAKE THE “A” TRAIN (A列車で行こう)が収録されている。エリントンのピアノから始まり、ベティ・ロッシュのヴォーカルがバップ・スキャットで彩りをそえている。「A列車」も多くの演奏が残されているが、このアルバムでの演奏時間は8分04秒。後半のポール・ゴンザルベス(ts)のソロワークまで、じっくり味わえる。

それにしても、SP時代には3分程度の演奏しか収録出来なかったけれども、LP時代になって、時間的制約がなくなり、ソロも内容豊富になり、よりライブに近くなった。

ところで、このLPは、50年代前半のモノラル録音だから、戦前のものに比べてずいぶん音がよくなった。アルバムタイトルが「Hi-Fi」と名付けられただけあって、今の時代に聴いても不足を感じない。このLPでは、レコードプレーヤーもカートリッジも、少し工夫を凝らして、中高域に張りのあるものを選んでみた。

カートリッジは、パイオニアのPC-15が最適だ。

60年代後半のオーディオ全盛時代、パイオニアのベルトドライブプレーヤーはベストセラーだった。その時代のプレーヤーに付属のカートリッジである、PC-15。これがいい。MM型カートリッジ。針圧1.7-2.3gで、ずいぶん軽量になった。今でも十分現役で使える。JICOからも交換針が出ている。テクニカのAT-6を少しだけ今風というかHi-Fiにしたような感じ。といっても、音は素直で中域が分厚い。だから、このLPには最適だ。対抗馬は、シュアーのM75か。でも、今はM75よりこちらの方をよく使う。ちなみに、PC-15はジャズだけでなくクラシックにも向いている。ヴァイオリンの音色が素晴らしい。